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注目の動画マーケティング、尺にみる成功の秘訣とは?

2018.05.11

コラム

注目の動画マーケティング、尺にみる成功の秘訣とは?

 

広がる動画の活用、視聴者を動かす効果的コンテンツとは?

近年、モバイルデバイスの普及と高速インターネット環境、基礎プラットフォームの整備が急速に進んだことなどを背景に、動画マーケティングが活況を呈しています。いまやあらゆる規模・業種業態の企業が、自社の認知向上や製品・サービスのプロモーション、ブランディングといった目的で動画を活用するようになりました。

インターネット動画を視聴することが、日常生活の一部になって当たり前の体験として溶け込んだという、一般生活者側の変化ももちろんですが、かつては制作に膨大な費用がかかっていた動画が、編集アプリケーションやクラウドサービス、無料の共有・投稿プラットフォームなどで、誰でも手軽に、ごく低コストで一定以上の品質を備えたものとして作成・公開できるようになったことなども大いに影響しているでしょう。

かつてのバナー広告のような静止コンテンツに比べ、動画ははるかに多くの情報を、豊かな表現で印象深く伝えることができます。しかしただ制作して流せばよいというものではありません。活用ケースが多くなればなるほど、より選ばれる動画、視聴される動画になる必要があり、投資対効果の高い動画となるよう編集にも工夫を要するところとなります。

工夫のポイントとしてとくに重要であり、担当者の悩みどころとなるのは、まず動画の尺ではないでしょうか。長尺か短尺か、離脱が少なく最もコンバージョンへ結びつけられる最適な秒数はどのくらいか、この選択によって動画マーケティングの効果も大きく異なってきます。そこで今回はこの“尺”に注目し、コンテンツ制作を考えていきましょう。

長いと見られない?長いは強い?いったいどっちが本当なのか

TV CMの場合では、多くのコンテンツが15秒か30秒です。それに対し、インターネット動画の場合、5~6秒のごく短いバンパー広告タイプから、10分を超えるようなストーリー性の高い大作まで実にさまざまなタイプが制作されています。

動画を活用するマーケターらからは、インパクトこそ重要という観点から、短尺をサクサクと視聴してもらうことが大切、長く語っても飽きて離脱するユーザーを増やすだけという声がある一方、長尺こそ深い印象を与え特別感をもって視聴してもらえる、ブランディングに効果的だとする声もあり、どちらの意見が正しいのか判断に困るところともなっています。

より効果的な動画とするには、尺をどう設定して編集していけばよいのか、まずいくつかの調査結果を参考に考えていきましょう。2016年にGoogleが公開したレポートに、15秒、30秒、2分超えのプロモーション動画を比較したものがあります。

この3本のうち、視聴者がどれを選択するか調べると、ビュースルー率で30秒が最も多く、次いで2分超え、15秒が最少で30秒動画との差は30%ありました。次に「広告の想起」を調べると、15秒動画の圧勝で認知拡大用途には、この短尺が最適であることが分かります。一方「ブランドへの好感」を調査した結果では、30秒動画と2分超え動画が拮抗して高く、15秒動画ではほぼ貢献がみられませんでした。

次に、尺ごとで最後まで視聴する完全視聴率にはどのような差が現れるでしょうか。米マーケティング会社のWistiaが報告するところによると、30秒以内ならば平均80%、1分未満なら平均60%程度の人が最後までコンテンツを視聴していました。

しかし5分以上の動画となると、冒頭すぐに全視聴ユーザーの3分の1ほどが離脱、最後まで視聴を完了したのは30%程度になりました。また視聴し続けるか否かは、再生開始直後、かなり早い段階で判断されており、そのポイントを超えて視聴するユーザーでは、3分、5分、10分といった長尺動画でも再生を続けるケースが多く、全体の長さにはほぼ関係なく、同程度の視聴者が最後までコンテンツを見るという結果も出ています。

こうした結果からは、やはり認知拡大を目的に、高いエンゲージメントをまず狙うなら短尺が適切で、長尺を用いる場合にはコンテンツ冒頭でのつかみを大事にすること、最後まで視聴したいと思わせる、はじめ数十秒における強い興味関心の惹きつけがポイントであることが分かるでしょう。

目的に応じて賢く使い分け!

このように尺は目的に応じて設定すべきであり、その選択によってコンテンツに入れるべき内容、編集のポイントも違ってくると考えられます。

例えば、認知拡大を目指した、はっきり広告と分かる商品・サービスのプロモーション動画ならば、15秒程度、長くても30秒以内の短尺動画が最適です。伝えるべき内容をワンメッセージに絞り込み、ダイレクトに表現して高い印象づけの効果をより高めるとよいでしょう。

一方、すでにある程度認知されているブランドや商品、企業のイメージをアップさせたい場合、ストーリーや世界観を丁寧に表現する長尺でユーザーの態度変容を目指す方がよいと考えられます。ただし冗長になりすぎないよう、あくまで厳選したエッセンスを表現するよう心がけること、冒頭に展開を期待させるポイントを作っておくことが重要です。

これは多様な動画コンテンツがあふれ、じっくり動画を視聴するといったスタイルが稀になってきている現状を考えると、当然の対応といえるかもしれません。隙間時間の視聴が多い、スマートフォンからのアクセスが大半を占めるようになってきていることも意識しておくべきでしょう。

いかがでしたか。最適な尺を設定するため、考慮すべき条件は実にさまざまです。その動画の配信目的は何か、どんなデバイスでどういったシーンに、どんな層で視聴されることを想定しているか、これらを具体的に思い描いた上で決定しなければなりません。

接するユーザーの視点に立ち、基本はコンパクトにまとめること、そしてここぞというブランディングや好感度アップで長尺をうまく使うこと、これが動画マーケティングにおける基本戦略といえるでしょう。

(画像はイメージです)

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