動画マーケティングの今を知る!認知施策としての利活用
近年はスマートフォンを中心としたモバイルシフトが進み、高速インターネット環境も広く安定的に利用しやすくなったことなどから、一般ユーザーのインターネット動画視聴が急増しています。かつては動画といえばTV中心で、インターネット動画は限られたユーザーのものでしたが、今日ではその境はほぼ意識されない水準になり、若年層を中心にネット動画に触れることがなんら特別ではないこと、当たり前の日常の一部となってきました。
こうしたインターネット動画の身近さが増すとともに、動画広告市場も急速に発展し、いまやデジタルプロモーション領域では動画マーケティングが主要な位置を占めるようになっています。さまざまな目的で実施・展開される動画マーケティングですが、最も基礎となるのは認知施策でしょう。
そこで今回は動画マーケティングで実施されている認知施策にスポットを当て、その特徴や期待できる効果、注目すべき成功事例、最新事例などまで、詳しくご紹介します。
動画ならではの力を発揮させて対象へアピール
動画マーケティングでは、従来のバナー広告や静止画とは比較にならないほどの情報量をもって、豊かに伝えたいメッセージや世界観を表現できる映像コンテンツを活用し、インターネット上のメディアを介したプロモーションを実施、ターゲットとなる特定の層や、多くの一般生活者に関心をもってもらえるようアピールします。
訴求力の高い動画というコンテンツで、企業と顧客がつながるコミュニケーションの機会を醸成することもできるため、知名度向上はもちろんブランディング、信頼性獲得に向けたサポートの提供、継続的なロイヤルティアップを図るのにも向いています。実際の商品購買や会員登録といった行動を促し、コンバージョンを獲得、売上アップにつなげることも期待できます。
認知施策は、マーケティング段階でいえば最も入り口の部分であり、企業やブランド、店舗の存在や商品・サービスの紹介、新商品のローンチ、キャンペーンの実施など、情報として広く知ってもらうことを目的とし、幅広い層の興味・関心を喚起するよう訴えかけていくものになります。
話題として拡散してもらったり、潜在意識に残したり、マーケティングの最終目標となる購買行動や会員登録、来店といったコンバージョンにつなげ、売上アップやビジネス拡張につなげていくためには、とにかくまず存在を知ってもらわなければ始まりません。だからこそ認知施策は重要であり、施策全体の入り口にあたるのです。
動きのある動画は、静止画コンテンツに比べ、そもそも人の注意を引きやすく、画面上に複数ある情報の中でも、閲覧ユーザーは無意識にその中の動画に目を留めることが分かっています。ですからすでに一定の関心をもっている層だけでなく、潜在的な層も含め、より広くリーチすることが重要な認知施策と非常に相性が良いと考えられ、効果的に利用すると大きな成功が見込めるでしょう。
テキストよりも直感的に内容を伝えやすく、記憶の定着率でも倍近く勝るといわれているため、この点からも動画は有効と考えられます。TV CMでも認知目的のものが多く見受けられますが、これにはそうした動画というコンテンツのもつ特徴が影響しており、インターネット動画でも同様の期待から、多くの企業がこの認知施策で動画を活用しています。
どんなコンテンツが最適?効果はどう見る?
認知施策では、大量のリーチを獲得すること、ターゲットを中心に幅広い層へアプローチすることが何より大切ですから、思わず視聴したくなる面白さ、感動といった人の普遍的欲求を刺激する短尺動画が有効です。
長尺動画では、視聴を離脱するユーザーや、そもそも視聴を回避するユーザーが多くなってしまいがちですから、ちょっとした隙間時間に楽しめて印象に残る、内容をコンパクトにまとめた動画とすべきです。
インパクトある短尺動画ならば、SNSでのユーザーによる拡散効果も期待でき、接触地点を多角的に増やして多くの人の目に触れるものとすることができるでしょう。話題が話題を呼ぶ、いわゆる“バズ動画”は、認知施策の目的を達するコンテンツとして優れた魅力あるものであることはいうまでもありません。
ただし、実際の購買など行動変容をもたらすコンバージョン達成や、その後のさらなるファン醸成、リピーター醸成といった先も見据え、ブランドイメージを著しく毀損するようなものとならないよう注意する視点も忘れてはいけません。動画マーケティングの全体を意識しながら、認知施策の最適化を図りましょう。
認知施策での動画配信は、ターゲット層に合ったチャネル・メディア、利用時間帯やデバイスを細かく想定して選別することも必要ですが、あまり対象を絞り込みすぎず、幅広いユーザーにリーチできるよう、主要ポータルサイトやSNS、動画共有サービスなどを活用します。そうすることで、想定していなかった層からの反響が得られたり、新規顧客の開拓が実現されたりするようになります。
成果を高めるため、施策は随時見直しを行い、最適化していくことが重要ですが、そのためには効果を的確に測定・把握しなければなりません。一般に動画マーケティングは効果が見えにくいといわれますが、それはさまざまな指標が存在するからです。
認知施策では、まず視て知ってもらうことが目標ですから、動画の再生回数、リーチ数、ユニーク視聴者数や総視聴時間といった指標が重要です。コストに対しこれらの指標がどれだけ伸びているか、当初の目標と比較してどうか、確認して判断を行いましょう。
注目の成功事例
具体的な成功事例でみてみます。米菓の製造・販売を行う三幸製菓は、自社の商品認知度が低い30~40代をターゲットにした新商品のPRに、動画マーケティングを活用しました。同社は、米菓として高齢層の購入が多く、新規開拓となる層にどうアプローチすればよいか最適な施策が見出せず、全体の購買率も停滞していましたが、新商品の独特なシズル感や食感を分かりやすく伝える短いプロモ動画を作成、Facebook、Twitter、LINE、YouTubeの主要4媒体で配信したそうです。
その結果、視聴ユーザーの64%がターゲット層の30~40代になり、主婦層へのリーチを主に獲得、視聴ユーザーの85%がこれまでの未購入者であったことが後の調査で判明し、潜在顧客への認知向上が高いレベルで実現されたことが分かりました。Facebookなどでのポジティブな反響も大きく、コメントが多数寄せられて、商品への興味関心や好意を喚起することに成功しました。最終的に、配信後の商品売り上げは1.4倍に増加するという成果も得られています。
またリアル店舗でiPhoneの店頭修理を行う「あいさぽ」は、価格や修理に要する時間の短さなど、訴えかけたい要素を強調し、すぐに理解でき、目を引くメリハリのついた15秒の短尺動画を作成、若年層を中心に多くの人が行き交う街頭ビジョンでの配信を実施しました。簡単な店舗案内情報として、すぐに行けることもアピールし、認知向上による集客性アップを実現したそうです。
児童向けのテーマパーク「カンドゥー」を運営するカンドゥージャパンは、同パークの認知拡大を目指し、YouTubeのTrueView広告を作成・配信しました。最初の5秒はスキップされないで必ず視聴される、TrueView広告フォーマットの特徴を意識し、冒頭でテーマパークロゴを長めに表示させるなど、工夫を施しています。
ターゲティング配信が可能であることから、パークの立地する周辺エリアとその他に分けてPDCAを繰り返し、より高い効果を最適なコストで得ることに成功、優れた展開事例となりました。
いかがでしたか。この他にも認知施策目的では、多くの成功事例が生まれています。それらに共通するのは、展開する目的を明確にし、視聴者の接し方を意識した動画設計と配信を行っていること、配信を始めてからも最適化を図る見直しを重ねていることなどです。ぜひポイントを押さえた賢い動画マーケティングで、より高い効果を目指してみてください。
(画像は写真素材 足成より)
YouTube総研
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