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ここが質の差!動画におけるカメラアングルとカメラワーク

2018.07.26

コラム

ここが質の差!動画におけるカメラアングルとカメラワーク

高い効果を発揮する動画はどこが違うのか?
近年はブロードバンドの通信網が一般にまで普及し、高速・大容量のインターネット通信が当たり前に可能なものとなりました。映像技術やその表示技術も日々進化し、日常的に用いられるスマート端末やPCにも、その技術が搭載されています。

そうした社会の技術的変化を背景に、オンライン上でも動画コンテンツが多用されるようになり、一般の人々もネット動画を楽しむことが習慣となったほか、デジタルマーケティングでは動画マーケティングが重要度を増してきました。

誰もが当たり前に動画を視聴したり、作成・投稿したりすることも可能で、面白いものは瞬時に共有されていく現代にあって、ビジネスマーケティングで動画を活用するなら、日々膨大にアップされてくるコンテンツの中でも、けっして埋もれることなくターゲット層に届くもの、狙った効果を高いレベルで発揮するもの、そうした“世にあふれるものとは違う何か”のある動画を制作することが求められます。

ではその違いを生むのは何でしょうか。企画の立案から撮影、編集、公開までプロセスにおける要素はさまざまに挙げられますが、重要なポイントのひとつにカメラの用い方、カメラアングルとカメラワークがあります。

そこで今回は、仕上がりの印象や動画の力を大きく左右する撮影手法について、カメラアングルとカメラワークを中心に、基礎を学んでいくこととしましょう。

伝えたいことを効果的に表現!脱マンネリ映像!
プロとして映像作品を手がける場合、まず表現したいこと、伝えたいメッセージなど明確な目的が存在し、それを演出するために効果的なカット割りや台本、カメラワークなどが練られていきます。ただ漫然と撮影することはあり得ず、意味のある構図、視点の流れをもった動き、全体演出によって、人を感動させたり、飽きることなく楽しませたりする作品が生まれるのです。

動画マーケティングにおけるコンテンツ作成でも、肝心な情報が間違いなく伝わるよう、対象を見切れなくとらえることはもちろん、アップ(寄り)やズームアウト(引き)、さまざまなアングルパターンを意図的に使い分けることが重要です。

カメラアングルやカメラワークは、そのまま視聴者の視点・視野となり、その世界における体験を直結して作り出すものになりますから、見方が違えば抱く思いがまったく異なるように、それによって生まれる気持ちやその後の行動への影響が大きく違ってきます。手法は多種多様で限りがなく、奥の深い世界ですが、まずは基本を身につけて実践・応用に活かしていきましょう。

アングルによる効果の違い
まず被写体に対するカメラの角度を指すアングルですが、この基本は目の高さや胸の高さになります。この水平ラインをベーシックとして、違ったアングルも取り入れていきます。

目の高さより上、俯瞰的な映像を撮影するハイアングルは、全体の状況を冷静で落ち着いたものにみせたり、主に映る対象者の立場を弱くみせたりする効果があります。人物の場合、若々しく見えやすいという効果もありますが、親密さや気持ちをダイレクトに伝える力は薄れやすい傾向がありますから、留意しておきましょう。

逆に目の高さより下、見上げるように撮影するローアングルは、被写体を力強く、威厳のある存在にみせる効果があります。たとえば歴史的建造物などをローアングルで撮ると、その権威や重厚さが演出でき、サイズ感も強調されて、実物よりも大きなイメージで撮ることができます。躍動感や迫力ある映像を撮るのにも向き、感情に訴えかけやすいのが特徴です。

カメラワーク・手法の種類
次に基本的なカメラワークを押さえましょう。フィクスは、固定したカメラで対象を撮影する最も基本のスタイルです。安定した印象で、奇をてらわず、情報が伝わりやすい画像になりますね。

パンと呼ばれる水平にカメラを振る手法は、風景の広大さや視点の横移動を表現したい場合や、水平に移動していく被写体の動きを追う場合、複数の被写体の位置関係や、横に長い対象のディテールをとらえたい場合に用います。

パンに対し、垂直方向、上下にカメラを振るものはティルトといい、下から上をティルトアップ、上から下をティルトダウンと呼びます。人物の全体スタイルと部分をフルにみせたい場合や、タワーなど縦方向に伸びるものを撮影する場合によく用います。効果としては、被写体の存在感を強調したり、シーンの場面転換や心理演出を作り出したりするのに向くでしょう。

レンズの焦点距離を変えるカメラワークの種類では、まずズーム・インとズーム・アウトがあります。広角から望遠で寄るのがズーム・イン、望遠から広角に引くのがズーム・アウトです。

ズーム・インは視線を誘導して特定のポイントに集中させることができ、詳細に注目させることができます。逆にズーム・アウトは視点の集中を解いてストーリーや雰囲気を変えるときや、被写体の置かれている状況や周囲との関係性をみせたい、語らせたいといったときに使います。

ピントの合った点を変えるのはフォーカス・インとフォーカス・アウトです。ぼけた状態から徐々にクリアにピントを合わせるのをフォーカス・イン、逆に焦点が合った状態からぼかしていくのをフォーカス・アウトと呼びます。

フォーカス・インは、主人公が目覚めたり、何かを思い出したりした体験を視聴者にも追体験させるといった効果が見込め、フォーカス・アウトでは、少しずつ意識が遠のいていったり、時間が経過して忘れていったりする状況を演出しやすいですね。

カメラ本体を移動させながら撮影するカメラワークの種類では、まずトラックと呼ばれるものがあります。カメラを横移動させたり、動く被写体に追随させたりするもので、移動する対象と背景をともに撮影すると、臨場感が得られやすくなります。単純なパンより、被写体との積極的な関わり、結びつきを演出しやすく、迫力のある仕上がりを作りやすい効果もあります。

カメラが被写体に近づいていくのはドリー・イン、被写体から遠ざかるのはドリー・アウトといいます。映像に動きや遠近感をつけられ、ズームよりも奥行きのある表現が可能となる点に特徴があり、やや難易度の上がるカメラワークですが、映像にプロらしい質の高さをもたせやすくなります。

後の編集作業も考慮に入れると、カメラワークを行う際は、ひとつの動作をとるごとに一拍の静止点を挟むよう意識しておくことがコツです。パンやズームなどは速度にも注意し、最初と最後はゆっくり、中間は一定の速さをキープします。

カメラワークは実にさまざまな種類があり、この他にもクレーンを使うダイナミックなクレーンショットや、一度にあらゆる角度から撮影するバレットタイム、あえて手ブレも効果に入れるハンディショットといったものも知られています。

ストーリー性の高いコンテンツや、ひとつの映像作品としてインパクトのある仕上がりを求める際などには、これら多彩なカメラワークも用いていくと効果的です。一方、説明動画やハウツー動画などでは、あまり多彩なものは必要とされず、安定的で見やすい、分かりやすいことが重視される傾向が強いでしょう。

表現したいものや動画の目的、アピールしたい対象などによって、撮影する対象が変わり、それに対するカメラアングル・カメラワークも最適なものが変化します。構図を意識し、視聴者の立場に立ってよく検討しながら仕上げていきましょう。

効果的な手法を選択できるようになると、伝える力を飛躍的に向上させることができます。動画コンテンツを使う意味がより高まることになりますから、基礎を学びながらチャレンジしてみてくださいね。

(画像は写真素材 足成より)

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