視聴が伸びるゴールデンタイムの存在
近年、スマートフォンを中心とするモバイルデバイスの急速な普及と高速インターネット環境の整備・浸透により、日常的にインターネット動画を楽しむ人が増加しています。かつてのように特別な体験ではなく、日々当たり前のように幅広い人々に視聴されるものとなったことで、マーケティングへの活用可能性も飛躍的に伸びているといえますが、一方でただ投稿・配信すれば見てもらえるというわけではありません。
コンテンツとしての内容が重要であることはもちろんですが、そこには従来のメディアとはまた異なるアクセスアップの秘訣があり、人気動画における共通性がみられます。そこで今回はすぐ実践できるポイントとして、動画視聴の機会を拡大させる大きなポテンシャルをもったゴールデンタイムの存在、理想的な投稿時間と更新の頻度について解説します。
調査分析にみる動画視聴時間の傾向
まず一般生活者にインターネット動画がどのように視聴されているか、その傾向を探った調査分析の結果をみてみましょう。調査会社大手のニールセンが2015年秋に発表した最新動向データによると、YouTubeやニコニコ動画、Netflixといった動画サービスへのアクセスデバイスはPCが約55%、スマートフォンが約80%で、モバイルデバイスの優勢さが確認されています。
市場動向からみて、現在はさらにモバイルシフトが進んでいますから、原則的にスマートフォンでの視聴をスタイルとして重視し、コンテンツの制作と投稿を行うべきと考えられます。
同調査のスマートフォンアプリにおけるYouTubeの利用時間帯のシェア分析結果では、日本国内の最大ピークは20~22時、21時台となっています。学校や仕事を終えて帰宅、一息ついた時間帯でしょう。もう1つの大きな山は朝の7~9時、8時半頃に確認されます。通勤・通学の時間帯です。やや小さな山は昼の12~13時頃にもみられており、昼休みにも一定のまとまった視聴利用があることが分かりました。
同じく2015年に公開された電通による若年層の動画視聴に関する調査では、通勤・通学時に18~29歳の男性では約半数、女性でも約2割が1日に1度以上動画を視聴していることが判明しています。
また若年層の場合、通勤・通学の乗車時間における約3分の1は動画を視聴、とくに配信系よりもYouTubeやニコニコ動画といった共有系動画サービスを利用する人が8~9割と圧倒的に多いことも報告されました。
視聴理由では「ひまつぶし」にちょうどよいという声や「乗車ストレスから解放される」からといった声が目立ち、手軽なサイズ感の楽しみと癒やしを与えてくれる旬のコンテンツが人気となりやすいようです。
人気動画の共通点は?投稿のタイミングと頻度
今度は配信側からの分析をみてみましょう。100万回を超える視聴回数を獲得した人気動画について、メタデータを収集・集計してデータを公開したメタップスの2016年における発表によると、YouTuberが配信した動画が全体の73.7%を占め、企業や音楽・番組などを大きく上回る結果となっていました。
ではこの人気を誇るYouTuberがいつ動画を投稿しているか、配信時間帯をみると、最多は19時台でした。次いで18時台が多く、一方で14時台、7時台にもピークがみられています。やはり先のゴールデンタイムと付合し、帰宅後の時間に視聴されることを前提としたその直前、18~20時頃の投稿時間に設定することが王道といえるでしょう。
7時台などはキッズ向け、若年層向けのチャンネルが多く、14時台配信は幼稚園や保育園からの帰宅時間に合わせている傾向がみられ、ターゲットとする層の生活時間を十分考慮した配信とすることで、視聴回数の伸びやすい状況を作り出していることも判明しました。
固定ファンを獲得し、似た特性をもつ潜在的視聴者層をより惹きつけていきたいならば、チャンネル登録者がタイムライン画面を開いている時間帯、そのタイミングで投稿・配信した動画コンテンツが表示されるようにすることがベストでしょう。ゴールデンタイムの重視とともに、ターゲット分析を通じた最適投稿時間の見極めが重要です。
では、投稿頻度についてはどうでしょう。同じメタップスの調査によると、100万回以上再生された動画が5本以上ある人気チャンネルの配信頻度平均値は、1週間あたり6本が最多で、次いで5本、10本以上も一定数存在していました。
ここから考えると、定期的に動画を配信することが重要で、まずは毎日更新することが理想といえそうです。可能ならば1日2本を目指すのもよいでしょう。ほぼ毎日決まった時間に配信されると、視聴が習慣化し固定ファンをつけやすくなります。チャンネル登録を促進させ、確実に視聴回数を伸ばせるというわけです。
チャンネル登録者数を増やすことは、さらなる飛躍的アクセスアップが狙えるランキング入りにも大きな貢献を果たします。かつてのYouTubeでは、ランキング化において単純な動画視聴回数が最重要項目となっていましたが、現在は動画の総再生時間数が重要視されるようになり、視聴を完遂するかどうか、より長く視聴されているか、チャンネル登録を行うファンの広がりがみられるかが大切なポイントになっているのです。
よって、毎日1本の定期的な更新、次の動画も見たくなる一貫性のあるチャンネル運営が人気動画を生み出す秘訣といえるでしょう。
いかがでしたか。思うように再生回数が伸びないと悩まれているならば、まずこうした投稿のコツを実践してみてください。もちろん何でも配信すればよいというわけではなく、リピーターになる、ファンになる内容の魅力は最重要点です。質を下げることなく実現できる範囲で、最適な投稿頻度によるベストな時間帯でのアップを継続していきましょう。
(画像は写真素材 足成より)