ネット動画時代のマーケティングで自社媒体も充実化!
近年、スマートフォンを中心としたモバイル端末の普及と高速インターネット通信環境の整備が進んだことなどを背景に、デジタルマーケティングのメインストリームが、かつてのテキストから動画へと移行してきています。
また、多額の費用をかけたTV CMや新聞広告といったメジャーな広告媒体が、一般生活者の意識や行動に与える影響を弱めていく中、プロモーションにおけるコストの分配方法など、全体設計における抜本的見直しを迫られている企業も多いでしょう。
リアルタイムの情報交換と自然な交流、身近感をベースとした信頼性・影響力を高めているSNSの存在も無視できません。こうした生活者を取り巻く環境や市場の変化を受け、動画マーケティングとオウンドメディアの掛け合わせ展開に高い関心が寄せられています。
そこで今回は、動画とオウンドメディアにスポットを当て、その有用性から具体的な作り方と活用法、成功事例の紹介まで、実践に役立つ内容で解説していきたいと思います。時代の半歩先を行く動画マーケティングの潮流を、ぜひものにしましょう。
そもそもオウンドメディアとは?
プロモーション展開においては、多角的で立体的なメディアの活用が成功の秘訣であり、それがうまく機能して初めて、最も人々の記憶や印象に残る、行動変容を促しやすい意味のあるマーケティング広告になるといわれています。
1つはTVや新聞・雑誌、Webメディアなど、いわゆるペイドメディアと呼ばれる広告媒体、2つ目はTwitterやFacebookなど情報を拡散するSNSなどの媒体、クチコミ媒体にあたるアーンドメディア、そして3つ目が自社運営のオリジナル媒体である「オウンドメディア」です。
オウンドメディアは、かつての自社サイトなどを発展させたメディア媒体で、すべて自社で運営を行うコントロールが可能なWebメディアやオンラインマガジン、ブログなど、第三者的目線を導入した、閲覧ユーザーにとってためになる情報を届けるもの、より楽しめて得になるコンテンツを掲載したものになります。
一般生活者の目線が重視され、自社紹介のコーポレートサイトのようなかたい表現の公式情報ではなく、それ自体の面白さから積極的にアクセスしたくなる魅力、ファンを増やす双方向性なども意識されたコンテンツで形成していくことがポイントであり、広告色を強く出し過ぎない点も押さえておくべき、オウンドメディアの特徴になります。
オウンドメディアは、一見手間のかかるもののようですが、一度立ち上げれば、自社で発信内容をコントロールすることができる上、広告費を生じさせることなく永続的にターゲットへのアピールなど広報活動が自由に行えるというメリットの大きなものです。
他社との差別化を図った、ブランディングの維持・向上にも大いに寄与しますし、Cookieの取得や会員登録を促す窓口にもできるなど、顧客データの収集・活用にも有用で、マーケティング施策全体を支えるものともできるでしょう。
オウンドメディアの作り方と動画の活用
こうした活用メリットの大きいオウンドメディアですが、すべてを自社で行わなければならないため、自由度が高い分、立ち上げ・運用ハードルも高いと感じられるかもしれません。中小企業など、うちでは無理と思われる向きもあるでしょう。
しかし、しっかりとした計画に基づいて進めれば、業種業態・規模にかかわらず成功が収められるのも、オウンドメディアの特色です。小回りの利く中小企業こそ、その活用用途は広い、得られる効果・影響の大きさも無限大に近いとさえ考えられます。ぜひステップを踏んで、立ち上げを目指してみましょう。
まずオウンドメディアで何をしたいか、実現したい目標を明確にします。商品や自社の認知向上、新規顧客獲得、既存顧客のエンゲージメント向上、世界観やメッセージの伝達、会員登録やオンライン購入の促進、オウンドメディア自身でのマネタイズなど、さまざまでしょう。できれば効果に関する数値目標も具体的にもっておくとよいですね。
次にアピールしたいターゲット層を決め、その人物像を具体化します。年齢や性別、メディアへのアクセスの仕方、どんな暮らしをしているか、できるだけ細かく想定しましょう。ここで想定したターゲットに合うデザインやコンテンツを設計していくことでファンを醸成していきますから、この作業は非常に重要です。
基礎設計プランができたら、アクセスが集中しても耐えられる環境、モバイルファーストや素早いページビューなど、必要なハード環境が整うようサーバー業者やクラウドサービスの検討を行いましょう。続けてプラットフォーム環境として、CMSの導入なども検討します。WordPressなどは柔軟性が高く、使いやすさ、コストの面でも優れているため、利用されるケースが多いですね。
ハードとプラットフォームが決まれば、ドメインを取得しましょう。手軽な無料ドメインも可能ですが、SEO対策やブランディング面から考えて、象徴的でシンプルな独自ドメインを取得することをお勧めします。メディア名称も社名プラスαとするなど、分かりやすくて印象に残り、再来訪を呼びやすいものとしましょう。
あとは運用更新スケジュールを立て、記事コンテンツなど内容面の作成を行っていけばOKです。ユーザーにどのくらい受け入れられているか、Googleアナリティクスなどのツールを活用し、効果検証を行いながら質を上げていきましょう。
このコンテンツの充実化で、ぜひ今お勧めしたいのが、動画の活用です。一般的なテキスト記事による特集やコラムに加え、動画コンテンツをプラスすると、メディアの魅力は飛躍的に向上します。伝えられる情報量が多く、豊かな表現で視る者に訴えかけやすい動画はぜひ活用したいところです。
自社製品のお役立ちハウツー動画や、企業精神、目指す世界観などメッセージを表現する動画、サービスレビューなどリアルで身近な声を伝える動画など、工夫次第でさまざまなタイプの動画を作成・活用できます。
先に設定したターゲットと親和性の高い動画であれば、そのコミュニティでの情報拡散が狙えますし、リアルな直接的コミュニケーションとして情報を受け取ってもらえやすくなり、継続的・長期的な高い効果が期待できるでしょう。
注目の事例
こうした動画マーケティングとオウンドメディアを掛け合わせた注目の事例をいくつか参考にご紹介します。スポーツクラブのコナミでは、所属選手やプロのインストラクターによる運動アドバイスを動画で提供しています。言葉では伝えづらい体の動きのポイント、正しいやり方が、動画によってとても分かりやすく表現されます。
これなら自分にもできそう、やってみたいと思わせることで、運動習慣を広げられ、ひいてはスポーツクラブの会員化も期待できるというわけです。もちろんお役立ち動画として、企業イメージの改善・向上にもつながります。一流のアスリートも登場する丁寧なレッスン動画は、提供サービスの質の高さをそのままにイメージさせるでしょう。こうしてコナミは、自社にあるリソースと専門性をうまく活かし、動画コンテンツを主軸としたオウンドメディアでファンを増やしています。
また動画の活用でしばしば話題になるのは、日清食品です。ユニークなTV CMシリーズも注目される同社ですが、オウンドメディアでは、さらにコアな表現性の高い動画、多彩な動画でアクセスを集めています。
自社サーバーではなくYouTubeを活用し、サーバー負担の軽減や共有・拡散効果の向上を図っている点も注目すべきポイントでしょう。Flashのようにサポートしないケースが増えている形式で動画コンテンツを作成するのは望ましくありません。
中小企業など、かけられる予算や手間が限られる場合には、YouTubeチャンネルを利用し、これをベースとして動画主軸のオウンドメディアを作ることもできます。YouTubeアナリティクスなど、無償で使える効果分析ツールも用意されているため、そうした観点でも整った環境が得られます。
いかがでしたか。この他にもAdobeが製品の使い方やテクニック、学びたい内容に合わせて動画コンテンツを提供していたり、アディダスグループが採用サイトで社員へのインタビューや社内の雰囲気をとらえた動画を配信していたりと、さまざまな企業で活用が広がっています。
オウンドメディアと動画コンテンツを組み合わせることにより、マーケティングの可能性と効果・影響力は、別次元といえるほどに拡大させることができます。もちろんどちらもただ作成すればよい、配信・掲載すればよいというものではありません。ターゲットとする一般生活者の視点から考え、定期的な更新で魅力あるメディアへと育てていくことが重要です。ぜひまずは立ち上げの一歩を踏み出してみてください。
(画像は写真素材 足成より)
YouTube総研
https://youtube-soken.com/